撮影日記 2004年7月分 バックナンバーへ今週のスケジュールへTopPageへ
  

 2004.7.30〜31(金〜土) 今日もダメ?

「山登りに行ったら見慣れないきれいなユリが咲いていたのだけど、ちょうど台風が近づいていることだし、今日その写真を撮りに行っても風が強くて撮れないだろうな」
 と、父が言う。
 確かに今日は風が強いが、僕の経験から言うと、自然の撮影は、風が・・・、雨が・・・、雲が多いから・・・と、行く前からあまり考えすぎない方が楽しくなれるような気がする。
 風が吹けば植物は揺れるので撮影は難しくなるが、風が強い日でも、ちょうど撮影したい場所が物影になっていて簡単に撮影できる日もあるし、逆に無風に近い日でも、撮りたい植物がまさに風の通り道になっていて手こずる日もある。むしろ、出かける前の予測通りに事が進む日の方が稀で、いい意味でも悪い意味でも、なかなか自分の計算通りにはならないものだ。
 自分がイメージする理想の日を追い求め、今日もダメ、昨日もダメ、一昨日もダメ・・・と、大抵の日が撮影に不適な日のように感じられている方も、少なくないのではなかろうか?僕の身の回りのアマチュア写真家、なかでもそれなりにベテランの方に、そうして停滞してしまっている人がなかなか多いのだ。
 とにかくフィールドに出て、自然の中で時を過ごすことがいいのではないか?と、僕は思う。

 なぜ、そんなことを書くのかというと、僕も予め考えすぎてしまう同じような傾向があるからだ。最近ようやくそれを修正できつつある。
 以前は、今日はいい!と思って出かけた日が、実はいい日でも何でもないケースが多かったが、最近は、何にも期待せずに、むしろダメだろうな〜と思いつつ出かけた日に、ずっとイメージしていた写真が撮れるケースが増えてきた。
 ダメで元々。考えるよりも行ってみよう!と、そんな気持ちになれるようになってきた。

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 2004.7.29(木) 故障の原因

 昨日カメラの故障のことを書いたので、詳しく書いておこうと思う。カメラに興味がない人には極めて退屈な話だと思うが、今日は勘弁して欲しい。
 あるカメラがいかに素晴らしいかはWEBや雑誌上でたくさん紹介されているし、僕がわざわざ書かなくても、そうしたものに目を通せばいい。だが、故障に関する報告は、なかなか目にする機会がない。
 いや正確に言えば、そうした事例ばかりを扱っているインターネットの掲示板などが存在するわけだが、閲覧してみると、メーカー叩きのような風潮やユーザーの過剰すぎる反応が多く、その内容には信頼が置けないケースが多い。そんなヒステリックな反応ではなくて、ユーザーにとって役に立つ故障に関する情報を知っておきたいな〜と、僕は時々思うのだ。

 カメラを覗き込むとレンズの向こう側にあるシーンが像として見える。
 仕組みはこうだ。レンズが作り出した像をミラーで反射して、ファインダースクリーンという場所に写し出し、それを像として見ている。
 シャッターを押せばミラーがパカッと跳ね上がり、今度はミラーの後ろに隠れていたイメージセンサーに像が写し出され、それが画像として記録される。そして、もしもカメラをのぞいた時に見える像のピントがちゃんと合っているのなら、撮影される画像のピントも合うように調節されている。
 だが僕が使用していたD70では、特に最近、しっかりとピントを合わせたつもりなのに、ピントが合っていない画像が撮れる割合が高かった。
 まず僕は、自分のピント合わせの腕を疑った。今考えてみると、僕にしては謙虚だったななどと思うのだが、どうしてもおかしいと感じるので、メーカーに点検・修理を依頼したら原因が判明した。
 恐らくミラーの位置が若干狂っているのだろうという診断だった。
 僕はイメージセンサーの位置が狂っているのではないか?と、自分なりに診断をしていたが、もしもセンサーの位置が狂っているのなら、いつもピントが合っていない写真が撮れなければならない。だが、実際には僕のD70は、いつもピントが狂うのではなくて、ある時はしっかりとピントがあった写真が撮れるので、センサーの位置の問題ではない。
 すると、センサーのように固定されている部分ではなくて、動く部分がおかしいということになり、答えはミラーの異常であろうと。

 本当はこんな時に備えて、あと1つニコンのD70が欲しい。だが、日進月歩とまではいかなくても、月進年歩くらいの速度でより優れた新製品が発売されるデジカメだから、同じものを2つ買うのはな〜と、やはり躊躇してしまう。
 修理が完了するのは10日の予定だというから参った。 
 その間を、ペンタックスのistDでしのごうと思ったが、ペンタックスは100ミリマクロ以外にレンズを持っていない。そこで知人にD100を借りてきた。代わりに、
「しばらくこれで我慢してね。」
 と、ペンタックスを預けてきた。
 
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 2004.7.27〜28(火〜水) 故障

 ニコンのD70はカメラを覗いた時に映し出される像が見にくくて、ピント合わせがやりにくいと、ちょっと前に書いた。D70で撮影すると、自分ではちゃんとピントを合わせたつもりでも、撮影された画像のピントが合っていないことが多いように感じていたからだが、なんと!、カメラの不具合であることが判明した。
 像が見難いだけでなく、故障をしていたようだ。
 買ったばかりの頃をよ〜く思い出すと、最初からおかしかった訳ではないように思う。今思い起こしてみると、その不具合は段々ひどくなっているように感じるので、少しずつ、どこかに狂いが生じているのだろう。
 その結果、特に最近撮影した画像の中に、ちょっとピンボケの写真が多い。堪えるな〜

 昨晩は、博多の町で夜の昆虫の姿を撮影したが、同じ福岡県内とはいえ、博多から僕の自宅までは結構遠くて、帰宅をして眠りにつくことができるのは1時過ぎになってしまう。
 だから、今日の午前中は疲れを取り、間を取るためにゆっくり過ごしたかったのだが、カメラを修理に出しにいったり、代わりのカメラを借りにいったりして、いつもよりも慌しい時間になってしまった。
 ふ〜
 今日は、何も考えたくないなぁ。

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 2004.7.25〜26(日〜月) 久しぶりに

 今日は久しぶりにまだ明るいうちに、自宅に帰った。
 今朝は早くて、4時30分起きで博多の町へクマゼミの撮影に出かけたが、お昼を少し過ぎた頃には博多での撮影を終えた。
 それから熊本まで移動をして、昨年から定点撮影中の田んぼで写真を撮った。
 熊本からだと、北九州市にある写真事務所に帰るよりも自宅に帰る方が近いので、今日は事務所には寄らずに、直接自宅に帰ることにした。
 自宅は楽でいい。

 僕の写真事務所はボロいが一軒家だし、生活できるだけの物も揃っている。事務所を訪れた人からは、よく
「ここで暮らしているの?」
 と聞かれるが、僕は大抵自宅に帰って眠るので、事務所に泊まる機会は少ない。
 時に、あまりに仕事の疲れがひどくて動けない時には自宅に帰らずに事務所に泊まることもあるが、事務所には撮影機材やその他、面白いものがたくさんあり過ぎて、休むことを忘れてしまいがちなので自宅がいいのだ。
 自宅の次に安眠できるのは取材用の車の中で、次が事務所の順になる。
 
 事務所は駅から徒歩2〜3分の距離にある。東京からお越しになる本の編集者の多くが、
「一等地じゃないですか!」
 と驚かれるが、そう言われてみれば、確かに東京では考えられないだろうな〜。
 今日の博多での撮影は、NHK福岡のテレビのスタッフの方々と一緒だったが、テレビが取り上げてくださることも、やはり地方ならばでの出来事であろう。首都圏なら、個性的な仕事をしている人なんて、掃いて捨てるくらいいることだろう。

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 2004.7.24(土) カタツムリの糞

 今年の春〜夏は仕事が多くててんやわんやである。忙しいとうまく仕事のやりくりができなくなり、ちゃんと計画さえ立てておけば容易い仕事が、時に面倒な仕事へと豹変してしまう。
 そんなケースで今苦心しているのは、カタツムリの糞の撮影だ。カタツムリは食べ物によって糞の色が様々に変化するが、飼育しているカタツムリが、その撮影のための色々な糞を、なかなかしてくれないのだ。
 今の時期、カタツムリは暑いので膜をはって休む時間が長い。寝ている時間が長いと食べ物をあまり食べなくなり、糞の量も減る。どんなにいいカメラがあっても、仮にどんなに写真が上手くても、肝心な被写体がなければ話にならない。
 ニンジンを食べたカタツムリは赤い糞をする。キュウリを食べると薄い緑色の糞をする。カタツムリはニンジンやキュウリが好きなので、赤い糞や緑の糞を撮影することはどんな時期でも容易い。
 さらにカボチャを食べさせると黄色っぽい糞をする。が、カタツムリはあまりカボチャが好きではないので、食欲が旺盛な時期ならともかく夏場の食欲が減退する時期にはなかなかカボチャを食べなくなる。カタツムリがカボチャを口にするより先に、カボチャが傷みだす。
 たかがカタツムリの糞の撮影にも、いい時期と悪い時期とがあるのだ。
 カボチャの次は白菜、その次はほうれん草、さらにその次は・・・・、と糞の撮影はまだ続くので、カタツムリの食欲を推進するためにエアコンを24時間付けっぱなしにしているが、資源や電気代が勿体ないな〜と、思う。
 一つ歯車のかみ合わせが狂うと、自転車操業になってしまう。
 仕事の量は収入に直結するので人によって好みがあるのだろうが、僕はきもち少な目の仕事に、心を込めて丁寧に取り組めればな〜と思うが、そもそも自分がどの程度の量の仕事をこなせるのかが分からないので、今年は来る仕事を全部引き受けて、自分の能力の限度を知っておきたいと考えている。

 さてさて、僕はこの日記の中で、自然やその日の出来事を単に伝えるのではなくて、なるべく自分の思いや心情を書きたいと考えている。だがそう思っていても、忙しくなってくると、日記の内容がその日のただの報告になったり機材の話になったり、僕でなくても書けそうな内容になる。
 そんな時、
「いかんな〜」
 と思う。一日写真を撮って過ごして、単にその日の報告しかできない程バタバタしているのであれば、僕にとって自然写真を撮る意味は半分くらい失われるように思う。
 一年の中である期間そんな時期があってもいいと思うが、トータルとして考えた時に、一日写真を撮り、何らかの思いがあふれ出して来て、それが次の日の撮影に繋がっていくようなペースを掴み、維持してきたいなと思う。

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 2004.7.22〜23(木〜金) 要求

 博多の町の中でももっとも賑わう天神という場所で、夜の虫の撮影中だ。今日もこれから町に出かける。
 夜と言っても町の中で撮影するのだから背景が真っ暗では面白くないし、生き物といっしょに夜景が写るような撮り方をしたい。
 そうした撮影には技術的に難しい面があったが、今回の撮影にはデジタルカメラがあるので、撮影した画像をその場で確認して、意図したとおりに背景を写し込むことが簡単になった。
「デジカメって凄〜い!」
 と何度かこの日記にも書いたし、僕が手にしたニコンのD70は実売価格で10万円強なので、フィルム代を考えると、なんて安いのだろうとただただ驚かされる。

 ただ1つだけ、D70には不満がある。カメラをのぞきこんだ時に見える像が見難いことだ。見難いと、ピント合わせが難しくなる。
 僕はそんなにピントを合わせ損なうことはなかったのだが、D70を使用すると、結構ピントを外してしまう。ちゃんとピントを合わせたつもりでも、僕が思った場所よりも後ろにピントが合っているケースが多いように思う。
 カメラの内部で何かずれているのでは?と、たまに思わなくもないのだ。
 D70に限らず、カメラの構造上、デジタルカメラのファインダーはキャノンの一部のカメラをのぞきフィルムカメラよりも小さくて見難いし、それはある程度は仕方がないのだが、もう少し何とかならないのだろうか。

 子供の頃、学校の先生がよく、
「みんなに期待しているから、厳しいことを言うんだよ」
 とおっしゃっていた。
 自分が学生で、そういわれていた頃は、
「何を言うか!ただ腹立っているんだろう!」
 と思っていたが、まんざら嘘でもなかったんだな〜と思う。デジカメは使える!すばらしい道具だと思えば思うほど、さらに要求したくなるのだ。
 もう少し先生の言うことをよく聞くべきだったかな〜。今頃考えても手遅れではあるが・・・

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 2004.7.21(水) チャレンジ

 テレビに出演・・・と先日書いたら、
「放送の日時を教えてね!」
 と、数件のメールが届いた。僕としては恥ずかしいので教えたくない。が、自分で出演すると書いたのだから仕方がないだろう。僕は自分が写真に撮られたり、何かに出演するのが大嫌いなのだ。
「私と一緒にプリクラに写ってよ!」
 などという美女からのありがた〜い依頼も、けんもほろろに断ってきたし、大学以降は、写真家としての僕を紹介する写真以外に、日常生活の中でまともに写った写真は一枚もないように思う。
 それくらい、写真にせよテレビにせよ、写るのが嫌いなのだ。
「それなら、テレビに出なければいいだろう。」
 ということになるし、また僕も出たくない。だが、
「宣伝にもなるし、断る手はないでしょう。それは逃げたらいかんでしょう!」
 と知人に言われた。その通りだと思う。不得手なことにも多少はチャレンジしなければならないだろう。
 こっそりテレビに出演して、それを黙っておく手もある。だがそれは、一所懸命に番組を制作するカメラマンや音声さんやディレクターさんに失礼だなと思った。今日は、その収録の初日だ。

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 2004.7.19(月) 締め切り

 今週から来週にかけて、NHK福岡のテレビカメラが僕の撮影を取材する。ローカルな番組だから・・・と気楽に取材の依頼を受けたら、なんと!合計で10日近くもテレビカメラに撮られることになった。
「そうか!それなりに制作に時間をかけるので、それを嫌って僕が断わらないように、時間がかかることをなかなか教えてくれなかったのかな?」
 などと邪推する。
 そのための準備としてディレクターの南さんが数度お越しになり、僕は出版社の編集者がお書きになった絵コンテを見せながら、
「これはカタツムリの本です。こっちも別の出版社ですがカタツムリの本になります。それからこれはメダカの飼育に関する本で、これがセミの本です。」
 などと、現在進行中の仕事を説明した。
 その過程で、僕の話に反応した南さんの
「なるほどね。こっちは動物の卵を特集する本なのですね。あ、締め切りは7月いっぱいでと書いてありますね。」
 という言葉にハッとさせられた。締め切りというヤツは非常に性質が悪く、なんでもない撮影を困難な仕事に早変わりさせてしまう傾向がある。十分に意識しなければならないが、それでも触れられたくないのが締め切りなのだ。

 さて、今日は、その7月が締め切りの仕事に取り組んだ。
 実は一昨日撮影を終えたはずだったのに、なんとフィルムの銘柄を間違えていたことに気付いた。緑のきれいな発色が欲しいシーンで、緑の発色が特に悪いフィルムを使用して、それに気付かなかったのだ。
 撮り直しをしようと思ったら、その撮影のために飼育してきた野生のメダカにアクシデントが!何が原因か分からないが、昨日から突然に全く卵を産まなくなった。
 が、今からまた別のメダカを準備するのは時間的に厳しい。メダカをこちらの思い通りに産卵させるには、多少の時間がかかるのだ。
「すでに撮影した発色に納得ができないフィルムを使うかな。でも嫌だな。」
 とクヨクヨしていたら、ふと、先日別の本の撮影のためにヒメダカを購入していたことを思い出した。今日の撮影にはメダカの卵が必要だが、卵であれば野生のメダカもヒメダカも違いはない。そこで、ヒメダカの水槽をのぞいてみたら、卵を抱えたメスがウヨウヨいるではないか。
 大げさだと思われるかもしれないが、
「神の助けだ!」
 と俄然元気がでる。
 そしてメダカの卵の写真の撮り直しをはじめると、先日フィルムを間違えた時よりも、よりよい照明方法があることに気付き、それを試してデジカメで撮ってみると、ぐっと写真が良くなっている。
 災い転じて・・・・、である。
 大体いつもそんな感じで、短い時間の中で、しめた!と思ったり打ちのめされたりの繰り返しではあるが、今日は最終的に結果が二重丸だったので、それを書いてみた。

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 2004.7.18(日) トンボの撮影

 数日続けて博多の町で都市の生き物を撮影したので、今日は北九州の片田舎の池でトンボを撮影することにした。
「今年は仕事が多い」
 と、日記の中に以前書いたが、トンボは何か依頼を受けて撮影しているわけではないのでリラックスできる撮影だ。
 ただ、それでも何となくシャッターを押すのではつまらないので、今日はトンボを、撮り方としては平凡に、だがその種類の特徴がよく写っていて、その特徴が美しいような写真を撮ろうと試みた。
 例えば、チョウトンボなら羽の色に特徴があるのだから、その特徴を奇をてらわずにストレートに撮る。またショウジョウトンボは、その赤い体色とちょっと突っ張ったようなツ〜ンとしたポーズに特徴があるので、そんな瞬間を待って撮る。

 
 (撮影機材の話)
 前回トンボを撮影した際に200ミリのマクロレンズを試してみたが、200ミリで撮れるものは、大抵100ミリクラスでも撮れるのでは?と感じた。
 例えば、目の前にいるイトトンボを撮るには200ミリが必要で100ミリクラスではレンズが短すぎたとしても、その目の前の個体にこだわらず周囲を歩き回れば、だいたい100ミリクラスで撮れる個体にめぐり合うことができる。
 それなら取り回しが悪い200ミリで撮るよりも、100ミリクラスで撮った方が懸命だな〜と、感じた。
 そこで、今日は野鳥撮影用に購入したニコンのAF-S300ミリf4レンズを試してみたら、結果は上の画像の通り。小動物の撮影にもなかなか適するようだ。200ミリクラスのマクロレンズには三脚が欲しくなるが、どうせ三脚を使うのならいっそうのこと300ミリの方がいいんじゃない?と考えたのだ。
 またこのレンズは被写体に近づけるだけでなく大変にシャープで、サンニッパも含めて歴代のニコンの300ミリの中でもっともいい描写をすると評価する人も少なくないようだが、僕もその通りだと思う。

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 2004.7.16(金) こんな世の中

 都会の人は無関心なのかな?と昨日書いたが、3日続けて同じ公園で深夜にセミを撮影したら、昨晩は住民の通報を受けたおまわりさんが、5人ばかりゾロゾロとやってきた。実に物々しい。
 ちょうどセミが羽化の真っ最中で、それを見たおまわりさんは、
「な〜んだ!気を悪くしないでね。ごめんね。」
 と、平謝り。
 都会の人も実は無関心ではないようだ。ただ田舎の人と違って周囲の人間が信用できないし怖いので、僕が何をしているのか確認したくても、話しかけられなかったのだろう。
 引き上げる際におまわりさんが、
「すぐにこうして通報してくる奴がいるんですよ。まあ、こんな世の中だから仕方ないのかね。あなたの方が被害者にならないように気をつけて!」
 と一言おっしゃった。
 こんな世の中とは、誰が事件を引き起こすか分からない時代だからという意味だろう。学校で、子供が子供を刺し殺すことさえありうるのだから。

 子供が同級生を切りつける事件が数件続けておきたが、恥を忍んで書くと、実は僕にも似た体験がある。
 小学生の頃の僕は大変な問題児でよくトラブルを引き起こしたが、ある時、隣のクラスのやはり問題児であるT村君と、些細なことで喧嘩になった。その過程で何がどうなったのかは記憶にないが、T村君が
「俺をカッターで切ってみろよ!切れねぇだろう!」
 と挑戦状を叩きつけてきて、
「おお、切ってやるわい!」
「早く切れよ。」
「本当に切るぞ〜」
 と、揉め事を引き起こしてしまったのだ。
 そのうち人が大勢集まってきて人だかりになるし、僕は当然切りたくない。が、T村君は引き下がらない。仕方がないので、爪で皮膚を引っかくよりも弱く、軽〜く腕をカッターでなぞったら、T村君の目から大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちた。
 T村君は、将来はヤクザにでもなるのかな?と思われているような極めつけではあったが、それでも、たったそれだけで涙がこぼれた。
 やくざになるのではないだろうか?と、周囲のみんなが思い込むようなT村君でさえ、本当は怖くてたまらなかったのだ。それが今は、普通の子と言われているような子が、実際に刺したり刺されたりするのだから、やはりこんな世の中なのだろうなぁ。

 さて、事件を知った僕の両親がT村君の家に謝りにいくと、
「いや〜うちの息子も悪いことは、よ〜分かっとります。」
 と、お父さんが軽く笑い飛ばしてくださったそうだ。
 T村君とは同じ中学に進み、中学卒業以降は、たった一度だけ道でバッタリ会ったことがあるが、遺恨なって一切なし。むしろ仲良かった友人たちとよりも楽しく言葉を交わすことができた。

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 2004.7.15(木) アブラゼミ

 僕が、今回博多の町で羽化を撮影しようと思っているセミはクマゼミだが、昨晩はクマゼミの幼虫を見つけることができず、代わりにアブラゼミの幼虫を見かけたので、撮影してみた。
 アブラゼミもクマゼミも、都会の乾いた環境に強いといわれているセミである。

 セミの抜け殻を探すと、木に数個の抜け殻が集中してくっついているような場所があるが、そこにクマゼミとアブラゼミの抜け殻がごっちゃ混ぜになっているようなケースは少ないように思う。クマゼミならクマゼミ、アブラゼミならアブラゼミと、抜け殻の種類が統一されていることが多いような気がする。
 アブラゼミとクマゼミの間にも、微妙な生息環境の違いがあるのかもしれない。僕の自宅がある福岡県直方市に関していうと、子供の頃は圧倒的にアブラゼミが多かったが、最近は断然クマゼミの方が多い。
 
 さて、先日、僕の自宅がある直方市でもセミを撮影したが、多くの通行人が、
「何を撮っているのですか?」
 と、話しかけてきた。
 それが、より都会の博多になると、子供はともかく、誰一人として話しかけてくる大人がいない。都会の人は、周囲に対して無関心だというが、確かにそうかもしれないな〜。
 都会の人のそうした傾向が悪いとは思わない。
 田舎で撮影中に話しかけてくるおじさんには、人が何か作業をしていることなんておかまいなしの、強引で横柄で、威張っている人も少なくない。
 日本のおっさんって嫌だな〜と、今まで何度思ったことか。話しかけるなら、礼儀を重んじて欲しい。
  
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 2004.7.14(水) 思い込み

 昨晩は、博多の町に、セミの羽化の撮影に出かけた。
 夕方目的地に到着し、辺りを探したら、1匹だけ地上に現れたばかりの幼虫がいたので、その幼虫をずっと追いかけていけば、羽化の様子が撮影できそうだ。
 ところが、その撮影中に、幼虫がアリに襲われた。セミの羽化を撮影するという僕の予定が崩れ去ってしまった。

 今回は、町の中にすむ生き物の撮影なので、セミの羽化の様子をワイドレンズで、町の夜景をバックに撮影していたのだが、レンズを接写用のものに付け替えて、襲われている様子をアップで撮影したのが今日の画像だ。
 仕方がないのでその場は羽化の撮影を諦めて帰宅をすることにしたが、帰りの車の中でふと思った。
「アリって、夜も活動するのだったかな?」
 なんとなくアリは昼行性の生き物だと思い込んでいたのだ。
 アリには夜行性の種類も昼行性の種類も存在するのかもしれないが、本来は昼行性のアリが、都会では街灯の明かりで夜も活動しているのかもしれない。もしもそうならば、都会の生き物事情として、それはそれで面白そうだ。
 が、そうだとすれば、上の画像は良くない。背景がまるで闇夜のように暗くなっていて、街灯の明るさが写っていないではないか!
 セミの撮影が失敗に終り、がっかりした僕は、そこまで考えがおよばなかったのだ。
 今日はこんな写真を撮ろうという、そのイメージに捉われてしまったようだ。
 
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 2004.7.13(火) 自分を抑える

 今日は夕方から撮影にでかける予定だ。日が暮れる少し前に現場に到着し、もしも目的の被写体が見つかれば深夜まで撮影をする。
 僕はそうした夜の撮影が得意ではない。大体いつも何かしていないと気がすまないタイプだから朝からあれやこれやと手を動かす結果、夕方頃には毎日クタクタに疲れ果てて、その後は抜け殻のように何もする気力が残っていないのだ。
 僕の夜の弱さには、人よりも早く眠たくなることもあるが、ペース配分の問題もあるだろう。
 そこで、今日は夕方まで、可能な限り、夢中になるような作業をしないようにしている。パソコンに向かったり、日頃カッタル〜イと思うような作業に取り組む。何かに取り組みたくなってもグッと堪え、自分を焦らす。撮りたい!撮りたい!と抑えられない気持ちで夕方を迎える努力をすることにしたのだ。
 そして今から出かけるわけだが、そうして気持ちを抑えることで疲れ果てていたりして・・・
 
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 2004.7.12(月) カタツムリの殻

 9日に引き続き、今日もNHK福岡のディレクター・南さんが僕の撮影を見にこられた。
 僕は撮影し、南さんはその様子を見て、時々メモを取ったり質問をする。
 ふと我に返ると、まるで友達と談話でもしながら撮影しているようにも思えてくるので、
「ほ〜、ディレクターという仕事は暇そうで、良さそうな職業だな。」
 などと思っていたら、そうでもないようで、昨日は選挙で態勢が判明するまで、明日は博多の山笠で、またまた長時間拘束されるとのこと。
 写真家も負けず劣らず良さそうな仕事だろうが、僕の場合は精神面での修行が足りないので、ちょっと上手くいかなことがあると、すぐカッカしてしまい大変に疲れる日も少なくない。
 それでも人がすぐそばで見ていると、やはり快調に撮影する冷静でカッコイイ姿を見せなければ!と思う。それが歯止めになって、今日の撮影は、試行錯誤はあったが、不必要にもがいたりジタバタすることなく快調に終わった。
 
 さて、今日はカタツムリを撮影したが、カタツムリの殻は身を守るためのとても大切な役割を果たしているのだと、よく言わる。
 が、僕はカタツムリを見ていると、その殻が邪魔になっていることが多いように思える。特に大きなカタツムリは、時に殻の重みに振り回されて、その結果、葉っぱや木の枝からすべりおちてしまうこともある。殻なんてない方がいいのでは?という気がしてくるのだ。
 また野外に出てカタツムリを探すと、カタツムリよりも殻を捨て去ってしまったナメクジの方が圧倒的に数が多く、たくましいように僕の目には映る。
 ある場所からカタツムリを全滅させることは可能かもしれないが、ナメクジを全滅させることは難しいだろう。よくカタツムリを飼育していると、いつのまにかナメクジが同居していることがあるが、そのナメクジをすべて取り出したつもりでいても、大抵の場合、ナメクジはどこかに隠れていて、ほんの20センチ程度の容器の中でさえ、ナメクジを退治してしまうことが難しいのだ。
 殻がない方が、隠れ込んだりする際に断然有利であるように思える。
 本当にカタツムリの殻にはそうした大切な役割があり、殻は必要なのだろうか?

 カタツムリの祖先は水の中にすんでいる巻貝だったのだろうが、きっと水の中にすんでいる時には、殻が身を守るために大切だったに違いない。また、水の中では殻の重さもそうたいして問題にならないのでは?
 それがやがて上陸して、カタツムリの仲間に分化する。
 カタツムリが持っている殻は、祖先が殻を持っていたことのなごりであり、必ずしもよく本に書かれているように身を守るために必要であるとは限らないのでは?と、僕は思う。
 
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 2004.7.10(土) ガガブタ

「僕が一番好きな気象条件は雨だ。」と、何度かこの日記の中に書いたことがある。
 だから梅雨時になると、いつもウキウキするが、今年の九州北部は見事な空梅雨だ。
 昨日〜今日も雨と予報されていたのに、結局ほとんど雨が降ることはなかった。
 今朝は、昨晩の雨の予報を見て、「よし!雨の中でカタツムリを撮影しよう」と、スタンバイしていたのに・・・
「雨が降り出さないかな〜」と待っている時間に、ガガブタという水辺の植物を撮影してみた。

 この画像のガガブタは、北九州のある池から採集してきて家の庭で育てているものだが、ほとんど何の手入れもなしに、毎年毎年、花を咲かせる。茎を一本抜いてスイレン鉢にでも埋めておけば、あっと間に鉢いっぱいに広がるし、強い植物だな〜と感心させらる。
 ガガブタだけでなく、アサザやコウホネもそう。水辺の植物には強いものが多いように、育ててみると感じる。
 ところが、ところが、自然界では数を減らしているケースが多いとされている。メダカもやはり同じで、減少していると言われているのに、飼ってみると大変に強くて、あっという間に増えるのだ。
 
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 2004.7.9(金) 幼虫

 水辺の生き物ではないが、今シーズン取材する虫の、生まれたばかりの幼虫を撮影することができた。

 この虫の成虫は、卵を木の中に産みつけるので、、産卵の痕跡がある枝を先月探して持ち帰り、木を切り裂いて、中に卵があることを確認しておいた。
 が、木を切り開いたので、内部の卵が乾燥しないように湿気を与えなければならない!と湿らせていたら、木にカビが生えてきて卵が死んでしまった。
 これはまずい!と、残っている卵は、ほどほどに湿らせるように改めたのだが、今度は卵が乾燥して干からびた。
 難しいものだな〜と、卵から幼虫が孵化する様子の撮影を正直に言うと諦めていたら、今日ふと木を見ると、小さな幼虫が誕生していたのだ。
 僕が切り開かなかった部分にも卵が残っていて、それが無事孵化をしたのだと思う。
 孵化の瞬間を撮影するためには、木を切り開かなければならない。
 が、そうすると、その後の卵にカビが生えたり、乾燥しすぎて死んでしまう。木を切り開かずに放っておけば、ちゃんと孵化をするのだから、なかなか難しいところだ。

 本やインターネットで調べたら、この虫の卵は、5〜6月頃に孵化をすると書かれているものが多かった。1つだけ、大阪の博物館の学芸員Sさんが、7月になってから孵化をすると、自信をもって書いておられたが、Sさんの記述がどうも正しいようだ。
 Sさんは卵の孵化だけでなく、その後の幼虫の成長をも細かく追跡調査しておられた。
 生き物の様々な現象を実際に自分の目で確かめてみると、出版物の中で一般的に書かれている内容は意外に当てにならないな〜と思う。
 多くの本は、すでに出版されている他の本を見て作っているのでは?とよく感じる。誰かが間違えたら、みんなそれに合わせて間違える。他の本を参考にすることは大切だと思うが、やはり自分の目で確認することが必要ではないだろうか?

 さて、乾燥して死んでしまったと諦めていた卵を、なぜ今日改めて観察したのか?というと、この夏、僕の撮影を取材する予定になっているNHK福岡のディレクター・南さんが、今日の撮影の様子を見に来られる予定になっていたからだ。
 せっかく人がお越しになるので、現在進行中の一通りの仕事を説明できるようにと、放っておいた木の枝を見たらそこに幼虫がいた。運がいいとしていいようがない。
 もしや南さんは、幸運を運んでくる人なのでは?これは取材に協力しなければ・・・と、そんな気にさせられた今日の僕であった。
 テレビカメラを使っての取材は合計で一週間程度、時期は、まだ先の話だが、
「一度撮影の様子を見せてください。」
 と、テレビカメラを回す前に、前もってお越しになったのだった。
 
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 2004.7.7〜8(水〜木) 早く楽に・・・

 明日の夕方あたりから、一週間くらい水辺の撮影に出かける予定でいたが、スタジオでの仕事を溜め込みすぎているので、出かけるのを取り止めることにした。
 いつもは、そうして野外での撮影が中止になりスタジオで撮らなければならない時には、残念で、とても無念な気持ちになるが、今回は溜め込んでいる仕事の量が半端ではないので、仕方がないな〜と納得できる。
 むしろ、早くスタジオでガンガン撮って、楽な気分になりたいと思う。
 代わりに、スタジオでの仕事をこなしながら可能な限り時間を作り、自宅や事務所の周辺で水辺の小動物を撮影しようと考えているが、僕はあまり自宅の近辺を撮ったことがないので、それはそれで面白そうである。

 さて、数日間の時間を作り遠くに出かける時には、やはり無意識のうちに、自然が豊かな景色のいい場所を選ぶ。視野を広くして、雄大な風景をなるべくたくさん見ようとする。
 一方で自宅の近辺には、そうした場所がないので、自宅の近辺で撮影する時には、目を下に落として、逆に小さなものを見るようにする。
 3日にトンボの撮影に出かけたが、近所で撮影する時には、そうした昆虫や小動物の撮影が面白い。
 そして最近は、デジカメを持ったことで、小動物の撮影が益々おもしろくなった。デジカメはフィルムカメラよりも器用なので、小さな生き物の撮影の幅がぐっと広がるのだ。
 昨日〜今日にかけては、事務所の花壇で、デジカメをいろいろと試してみて、デジカメの特性をつかむためのデータ作成を行っている。
 デジカメの場合、撮ってすぐに像を見ることが出来るが、やはり前もって十分にデータを取っておかなければならないと、ここのところ感じていたのだ。デジカメは便利だし、そうした下準備なしでも撮れるが、それは、何となく撮れているに過ぎない。
 やはり、基本はフィルム時代と変わっていないようだ。
 
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 2004.7.6(火) トラブルが

 今シーズンは、メダカの本を作ることになっている。
 ちょっと前にその打ち合わせをして、野生のメダカを撮影することになっていたのだが、急遽変更があり、ペットショップに売られているヒメダカを撮影することになった。
 今日は、なぜ野生のメダカではなくてヒメダカなのか・・・、そういったことを書こうと思っていたら、なんとアクシデントが発生。
 水槽で飼育していた野生のメダカが大量に死んでいたのだ。
 まず疑うのは水質だが、メダカと一緒に飼育しているヤマトヌマエビは一匹も死んでいない。一般に水質の変化にはエビの方が弱く、また他にもタナゴが同じ水槽に入っているのにやはり全く死んでいない。原因は、水質ではないだろう。
 すると病気だろうか?
 病気だとすると、器具をすべて洗浄しなければならないので、大変に面倒なことになる。
 原因が病気だと決まったわけではないが、腹をくくって、器具の洗浄に取り掛かった。
 まだ生きているメダカを取り出して隔離し、殺してしまうのもかわいそうなので、屋外のスイレン鉢の中に移すことにして、病気が発生した水槽を空にした。
 水槽にはろ過装置という水をきれいにする機械がセットしてある。そして、ろ過装置の中には、ろ材という汚れを分解するバクテリアが棲みつくための、軽石を砕いたような物が収められている。そのろ材もやはり新しい物にしなければならない。
 新品のろ材を買ってきて、ろ過装置の中にセットし、そして水を入れ、ろ過装置を稼動させた状態で一週間くらい放っておくと、ろ材にバクテリアが棲み付き、魚を放すための準備が整う。

 こうして書くと、何だかあっという間に終わる作業のようだが、これが実に時間がかかる面倒な、そして水がはねたり、こぼれたり、とても疲れて汚れる作業なのだ。
それにしても、撮影用に飼育している生き物が死ぬと堪える。
 
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 2004.7.4〜5(日〜月) 人生灰色?

 一週間弱、山陰の水辺で撮影をして釣りをして、そして帰宅をして、疲れが取れたらすぐに、一昨日、トンボの撮影に出かけた。
 何かニーズがあって撮影に出かけたのではなくて、
「あそこに行ってみたいな!」
 と思う場所を幾つかリストアップして、そんな場所を転々とした自由な撮影だった。
 そうして気の向くままに生き物たちの姿を追いかけると、今度は、仕事として写真を撮ることがとても負担に感じられ、
「一生こうして自由に写真を撮ることができないものかな・・・」
 などと、あり得ないことをつい考えてしまう。
 いつもは、
「これを撮ってください。」
 と、仕事を依頼してくださる方々の存在に、大変に大変に感謝しているのだが・・・
 変な例えではあるが、日頃は奥さんに感謝しているつもりなのに、若くて素敵なお姉さんと仲良くなる機会に恵まれた途端に、奥さんとの積み重ねてきた生活が突然に灰色のつまらないものだったように感じられ、
「あ〜、俺の人生灰色だ!きれいな人と、別の人生を歩んでみようかな・・・」
 などと、ついつい考える。そして、ふと我に返り、そんな身勝手な自分に気付き、
「あ〜僕は我がままだな。」
 と実感した時のような後ろめたさを、今日は感じる。
 ちなみに僕は、一度も結婚をしたことがないので、僕の想像の世界でしかないが。

 今日は、来年出版される本のための打ち合わせの日だ。東京から人がお越しになり、編集を担当される方がお書きになった絵コンテを見て、話し合いをするのだ。
 話をすると、具体的に何をどう撮るのかがイメージとして湧いてくる。すると、どこからともなくやる気が出て、また仕事に立ち向かう気力が充実してきた。
 
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 2004.7.03(土) ヒヌマイトトンボ

 各地で絶滅が危惧されているトンボ、ヒヌマイトトンボの撮影に出かけた。
 トンボの写真家・西本晋也さんが声をかけてくださったのだ。
 イトトンボの仲間の場合、オスメスの色が極端に異なることが多いが、上のきれいな緑色の個体がオス、下の茶色っぽい、ちょっと地味な個体がメスだ。
 このトンボは、昆虫としては珍しく、主に海辺に生息する。今日撮影をした場所も、潮の干満の影響を受ける場所だ。
 淡水魚であるメダカは、塩水が混じる汽水域にも生息できると、何かの本の中で呼んだことがあるが、トンボの撮影中にメダカも見かけた。
 

  さて、きれいな個体がオス、地味な方がメスと書いたが、この場所のヒヌマイトトンボの場合、メスの中に、オスのような模様を持ったタイプが存在する。
 したがって、上の画像は、オスどうしで出来ているわけではない。下の個体もれっきとしたメスなのだ。

 それにしても今日は暑かった。
 僕の肌は日焼けをしにくいので、今日一日撮影をしても、ほとんど変化はないが、一緒に撮影した西本さんは、行きがけとはほとんど別人だ!といってもいいくらい真っ黒になった。
 西本さんの顔を見て、改めて今日の暑さを実感した。

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 2004.7.02(金) 原因判明

 取材から帰宅をしたら、飼育中の生き物の世話やその他で慌しい。やはり数日間事務所をあけると、生き物の健康状態が心配になる。
 それでも梅雨の時期は、室内の温度もそれほどには高くならないので、まだ気楽ではある。これが真夏になると、例えばカタツムリに与えている野菜が腐っていたり・・・、せいぜい3日程度の取材が限界になる。
 
 さて、ちょっと前にカタツムリの子供がポロポロと死んでしまうと書いたが、原因が大体分かった。
 実は、昨年、うちの東側にある建物が取り壊されて駐車場になった。それ以前は、そこに建物があり、朝日が事務所に射し込むことはなかったのだが、朝日が入るようになり、午前中に、それまでカタツムリを飼育してきた場所の温度が高くなるようになった。
 温度が上昇すると、飼育容器として使っているタッパーの中の一面に水滴が付着する。そして、小さなカタツムリが、その水滴に飲み込まれた溺れてしまう。
 恐らく、そんな仕組みで、カタツムリの赤ちゃんが死んでしまっていたのだと思う。
 事務所内での飼育容器の置き場を変え、午前中に温度が上がらない場所に置きかえたら、死ななくなった。
 建物が取り壊されるまでは、温度が上がりにくく、最も飼育に適した場所が、そうではなくなっていたようだ。 

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 2004.6.31〜7.01(水〜木) ツキノワグマ

 ツキノワグマが目の前に現れた。場所は島根県の匹見町。その距離およそ25メーター。
 匹見でクマを見かけるのは珍しくないが、至近距離での出会いは大抵車の運転中に林道に出てきたクマと遭遇するパターンなので、丸腰での出会いは、実は初めて。
 クマは竹林の林床で、何やら食べ物をあさっている。僕の方が先に相手に気付いたので、ゆっくり観察したかったのだが、安全策をとることにして、威嚇をして追い払うことに決めた。
「ウォー」
 と僕が吼えたら、クマの動きがピクリと止まった。
 もう一度吼えたら、今度は顔を上げ、さらに、
「ウォー、ウォー」
 と2度吼えたら、クマはゆっくりと後ずさりし、突然に走って逃げ去った。

 さて、取材の最終日は、今回も釣りをして過ごした。
 恐らく写真を撮るために沢を歩いていたのなら、ツキノワグマに出会うことはなかっただろう。渓流釣りをすると、かなり長い距離、谷沿いを歩き通すことになり、今回も6時間歩いた。
 本来沢沿いは歩きにくいし疲れるが、無心になって釣りをしていると、不思議なくらいに長い距離を楽に歩ける。また三脚や重たい撮影機材を持っていたら通れないところも通るし、時には沢に落ちてしまうことを覚悟で岩場をへずるように通り抜けることもある。
 釣りの最中に、
「あ〜写真が撮りたい!」
 と、地団駄踏むような機会もたまにはあるだろう。が、それよりもカメラを持っていたら行きにくい難所で、見えにくいものを、その機会にいろいろと見てみようと思う。
 そう考え、一度は卒業することにした渓流釣りをまた始めたのだった。
 そう言えば、前回釣りをした時には、沢に落ちて死んでしまった新鮮な鹿の死体を見かけた。カメラを取りに行こうか?と散々迷ったが、そこに至るまでには岩を懸垂で登らなければならない難所があり、身軽な釣りのスタイルならともかく、機材や三脚を運ぶのは無理だと判断して諦めた。
 だが、その場は諦めても、そうして自分の目で見て知っているものは、いつか撮影できる機会が巡ってくるのだと、僕は信じる。

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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2004年7月分


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